海辺に掲げられる旗の風景
About This Archive
FLAAAAGS
ARCHIVE
Statement

アーカイブ「flaaaags」について

掲げる意志があれば、たとえどんなものであっても、それは旗になる。

催涙弾が飛ぶ夜に、ひとりの学生が赤い旗を拾った。それは抗議のシンボルではなかった。冷麺屋の季節メニューを告げる、ただののぼりだった。それでも彼は、それを掲げて立ち上がり、走った。「냉면개시(冷麺開始)」。その逸話は語り継がれながら、ひとつの真実を残した。掲げる意志があれば ーたとえどんなものであってもー それは旗になる。

冷麺開始と書かれた、掲げられる旗のイメージ
掲げられる旗の画像

そういうことを、その話は語っていると思う。

2016年以降、韓国のデモに奇妙な旗が増え始めたという。「家で寝てたい連合」「猫好き市民の会」。実在しない団体の名前を書いた旗を、ひとびとは自分でつくり、自分で持ってきた。動員ではなく、ここにいる。その一点を、ユーモアという形で証明するために。重い政治の空気の中で、あまりにも普通すぎる人間たちが、あまりにも普通すぎる言葉を掲げている。その光景そのものが、レッテルを無効にした。

言葉というのは、時々、そういうふうに機能する。

この場所は、特定の団体や肩書きのためだけにつくられたものではない。

大きな言葉に回収される前の、生活のなかにある小さな違和感や願いを、そのまま掲げられる形式が必要だと思った。

ひとりの声は、しばしば小さく、説明しづらく、既存の分類に入りきらない。だからこそ、旗という形にして並べることで、その声がそこにあることを見えるようにしたい。

夜の街で掲げられる旗の光景
掲げられる旗

それでも、声を上げる。少数派は連帯することで、自他を強くできる。

ここで扱いたいのは、個人の私生活そのものではなく、誰かが自分の言葉で立つための形式だ。

flaaaags.jp は、旗を保存するサイトではない。隣国のデモが育てたこの方法論を、動員ではない個人が自分の言葉で立つための形式を、日本の土壌に移し替え、耕すための場所だ。韓国がフラッグを使うなら、日本には戦国武将伝来の のぼり がある。日常の感覚がそのまま旗になる。「スマホ画面バキバキ市民の会」「ジャンボタニシから 田んぼを守る会」。報道が「市民団体」とひとまとめにするものに対して、「それは架空団体だよ」と返せる文化を、ここで育てたい。

このサイトはまだ不完全だ。整ったシステムも、完成された制度もない。まず出面をつくり、手で集め、手で更新する。その不完全さごと公開するのは、自分たちで作るという意志そのものを形にするためだ。

ここは、個人のことばを集め、掲げ続けるためのポスターボードです。

運営: flaaaags.jp